▲56歩 △34歩 ▲68銀

私が時折採用する序盤を紹介したいと思います。

「相振りに苦労している中飛車党」もしくは「角交換振り飛車をたまに指す居飛車急戦党」の方は一考の余地があるかと。

初手から
▲56歩 △34歩 ▲68銀 (基本図)

56歩に84歩なら76歩と突いて中飛車か向かい飛車にします。

34歩は中飛車なら相振り飛車を見せた手ですが、68銀が面白い指し方。

ここで35歩は57銀から79角とすれば負担になりそうなので、後手が振り飛車にするならここで32飛が自然です。

これには57銀として①鳥刺しで行く②79角から88飛と向かい飛車にする③76歩から78飛として相振り飛車にする、などなど色々な指し方が考えられるので自分の好きな指し方を選んでもらえればと思います。

気になるのはここで84歩と突く手。

先手はすぐには角道を開けられません。

基本図から
▲84歩 △57銀 ▲85歩 △76歩 (第1図)

85歩まで引っ張り込んでからようやく角道を開けます。

ここで42玉などと穏便に来れば22角成同銀88飛(下図)と進めます。

これは菅井流三間飛車を先手番+三間に途中下車していない、で二手得で指せている計算ですから、打開の義務を負うことを差し引いても十分な展開だと思います。

問題は第1図から86歩と突っ込まれた時。

普通は無理筋ですが先手の横腹が薄いので成立しています。

第1図から
△86歩 ▲同歩 △同飛 ▲22角成 △同銀 ▲77角 (第2図)

飛車銀両取りですが後手も承知の上、激しくなります。

第2図から
△89飛成 ▲22角成 △33角 ▲21馬 △77桂(第3図)

先手は銀得を果たしますが第3図の77桂が厳しすぎる反撃。

先手はここからぎりぎりの順でしのぎます。

第3図から
▲68飛 △69桂成 ▲同飛 △79金 ▲68飛 △78金 ▲48玉 △68金 ▲同銀 (結果図)

後手は気持ちの良い順が続きますが結果図まで進んで局面のバランスは取れています。

後手は99角成ぐらいでしょうが先手からは55桂という厳しい手が残っています。

結果図はまだまだ難解ですが少し先手が勝ちやすいのではないかというのが個人的な見解です。

乱戦は避けられませんが序盤からペースを握りに行ける▲56歩△34歩▲68銀

是非一度お試しあれ。

ー本日の勉強ー
詰将棋 30問 棋譜並べ 1局 実戦 2局 (2敗 R2183→R2154)

33金型早繰り銀(1)

今回から33金型早繰り銀を考察していきますが、「33金型早繰り銀とは何ぞや?」と思う方も多いと思うのでまずはその形をご覧下さい。

図の後手陣がそれで、その名の通り33金型に構えて早繰り銀に組んでいます。

図を見て「後手指しすぎじゃね?」と思った方は鋭い。

図の後手は一手得をしており実質的には先手です。

その代償として33金の悪型になっているのですが、この33金が早繰り銀と相性がいいと言うのがこの戦型の肝となります。

33金型を解説する前に、通常の角換わりにおける先手早繰り銀の問題点から見ていきましょう。

上図(第0図とします)はいわゆる角換わりで先手が早繰り銀、後手が腰掛け銀に一直線に進めた局面です。

次に45歩とされては銀が引くしかありませんから先手はここで仕掛けます。

第0図から
▲35歩 △45歩 ▲34歩 △46歩 ▲33歩成 △47歩成 ▲32と △46角 (結果図)

35歩を同歩と取ってくれれば同銀で先手絶好調、43銀は手筋ですが79玉としておいて、いつでも34歩同銀右36歩からの攻めがあるので先手不満はありません。

45歩が最強の反撃、先手は手を戻すと駒損になるので突っ込むしかありません。

互いににと金を作りあって先手が金得を果たしましたが、結果図の46角があまりにも厳しい反撃です。

飛車取りと同時に57とまたは57角成の攻めを見せており、32飛の援軍もあって先手が堪え切れません。

一方の後手玉は右辺に逃げる形が広く結果図は先手の勝てない将棋とされています。

もっともこれは後手が一直線に腰掛け銀を目指した場合で、14歩や74歩など他の手が一つでも入っていれば、先手早繰り銀は途端に有力な作戦に化けます。

上図は新人王戦の高野智史四段ー佐々木勇気六段の将棋です。

後手で14歩を早めに突く将棋は勇気先生が得意にされていますが、高野先生はそれを咎めるべく早繰り銀を採用しました。

前述したように後手に14歩の一手が入っているため腰掛け銀の受けが間に合っていません。

上図から35歩と突く手もありそうですが、実戦は79玉44歩35歩と進行。

これでも一直線に攻めあうと、先手の79玉が大きく46角が厳しくならないため、後手は35歩45歩34歩に同銀と手を戻すことになりました。

もちろん形勢はいい勝負でしょうが先手としては早繰り銀を採用した甲斐はありそうです。

と言うわけで、先手の早繰り銀は後手にまっすぐ来られると無理、一手稼げると有力。
これが角換わり早繰り銀の根幹をなす考え方です。

後手でそれをやろうと思えば二手稼ぐ必要がありますが、その難題を解決するべく生み出されたのが33金型です。

次回は33金型の序盤の駒組と「早繰り銀が間に合っている」理屈を説明していきます。

ー本日の勉強ー
詰将棋 30問 棋譜並べ1局 実戦2局(2敗 R2172→R2143)

↓次回の記事

後手番でいかに戦うか

先手番における勝率はプロの将棋で大体52〜53%だと聞きます。

アマチュアだと実際の勝率は気にするほどでも無いと思いますが、“主導権を取れるかどうか”で言うと全く話が違ってきます。

強い人だと「何でもお好きにいらっしゃい」と構えられるかもしれませんが、多くの人は局面の主導権を握っていきたいと考えてるのでは無いでしょうか。

その際に先後というのは大きな意味を持っていて、“同じように組むと先手が先に仕掛けられる”という当たり前の理屈からどうしても主導権は先手に移りがちです。

当然ながら後手番で積極的に動いていく将棋は数多く試されていて、横歩取り85飛戦法・ゴキゲン中飛車などはその典型で、実際に大流行しました。

ここで相居飛車の4大戦法についての現状を確認してみましょう。

矢倉は大変革を迎えていて急戦策を中心に後手に主導権があることが多くなり、実際に先手の採用率が激減しています。

相掛かりはどちらからも動いていきやすいですが、先手は戦法選択の時点で避けることができます。

横歩取りは青野流が主流となり、完全に先手に主導権があります。

角換わりは後手から仕掛ける形もありますが、基本的には手待ちの将棋です。

現状後手は基本的に角換わりか横歩取りを選ぶことになりますが、このどちらも先手に主導権があります。

これらを不満と見て後手から主導権を握りに行く将棋がかなり増えました。

飛車先切らせ型角換わりや極限早繰り銀、74歩取らせなる戦法まで出てきました。

しかし何と言ってもその典型は雁木でしょう。

現代将棋の至る所で雁木は出てきます。

代表例は角換わり拒否の雁木で、当初は先手もずいぶん手を焼いていましたが、最近では急戦で仕掛けるのが主流となり、形勢はともかくとして主導権は先手にあります。

雁木以外の戦法は先手に序盤から歩を渡す展開になりどうしても指しこなすのが難しいです。

では後手番で主導権を握りつつ狙いが明確で、なおかつ再現性が高い戦法はないかという話になってきますが、とっておきの作戦が一つあります。

次回から後手番の秘策“33金型早繰り銀”を数回に分けて考察していきます。

33金型早繰り銀(1)

ー本日の勉強ー
詰将棋 30問 棋譜並べ 1局 実戦 8局(6勝2敗 R2111→R2172)
いい調子

相掛かりでの一つのアイデア 58玉

先手相掛かりでの序盤のアイデアとして、38銀を保留して58玉と立つ形を紹介します。

戦法というほど手順が確立されたものでもなく、精査すればあまり上手くいかないかも知れませんが、一つのアイデアとして捉えてもらえればと思います。

初手から
▲26歩 △84歩 ▲25歩 △85歩 ▲78金 △32金 (第1図)

至って普通の相掛かりの出だしです。
ここで38銀や96歩として飛車先交換を保留するのが近年の流行ですが、本譜はシンプルに交換しに行きます。

第1図から
▲24歩 △同歩 ▲同飛 △23歩 ▲26飛 △72銀 ▲58玉 (第2図)

第2図の58玉が本戦法の骨子。
57の地点に駒を効かしているのが38銀との違いです。
詳細は後で説明します。

第2図から後手の指し手として (1)34歩 (2)74歩 (3)52玉 を見ていきます。

(1)34歩の進行
第2図から
△34歩 ▲36飛 △33金 ▲76歩 (結果図) 先手不満なし

34歩にはその歩を狙って36飛と寄るのが手筋。
33金を強要して76歩と突いた局面は86歩同歩同飛に75歩と突く手があり、86歩以外の手には77角と上がって持ち歩を主張します。

「ただのひねり飛車じゃねーか」と思った方、ご明察です。

しかし「ただのひねり飛車」はもともと優秀な戦法で、将棋に必勝戦法があればひねり飛車だと謳われたほどです。
ではなぜひねり飛車が衰退したかというと、後手が34歩を保留することで33金の悪形を避けることに成功したからです。
すなわち33金に組ませてのひねり飛車は先手が指しやすいというのが歴史的に見た通説です。(少なくとも私はそう認識しています)

もっともこれは昔の話で、現代の目で見れば結果図は後手も十分やれるという意見があってもおかしくはないことは追記しておきます。

結果図以降は48玉から普通のひねり飛車にしても良いでしょうが、58玉を活かすなら36歩から37桂として横歩取りのように指すのも面白いでしょう。

(2)74歩の進行
第2図から
△74歩 ▲24歩 △同歩 ▲同飛 △14歩 ▲16歩 △73銀 ▲23歩 (第3図)

74歩にはその歩を狙っていきなり24歩と動いていきます。
24歩・86歩と合わせて歩得を狙う手は現代相掛かりにおける常套手段ですが、ここまで早いタイミングでは珍しいでしょう。

1筋の交換を入れておけば受かりそうですがここで23歩と打てるのが58玉型の効果です。
38銀型では23歩13角28飛57角成で大失敗に終わります。

第3図から
△13角 ▲28飛 △24歩 ▲15歩 △23金 ▲14歩 △22角 ▲76歩(結果図) 先手良し

24歩から23金は仕方ないところですが、結果図まで進めば好形を維持している先手良しです。
結果図から86歩と突きたいところなのですが、86同歩同飛に13歩成が決まります。
以下同桂は14歩と打って桂得確定、同香には同香成同角87香で先手優勢です。
ここで86歩と突けないからこそ結果図は先手良しともいえます。

(3)52玉の進行
第2図から
△52玉 ▲16歩 △14歩 ▲38銀(結果図)

52玉は歩を突かずに待機した指し方ですが、結果図まで進んでいよいよ後手は動かす駒が難しくなってきました。
以下34歩には36飛、74歩には24歩とすれば同じ要領で攻めることができそうです。

いかがだったでしょうか?

突っ込みを欠いた記事になったことは否めませんが、58玉型の狙いは理解してもらえたのではないかと思います。

58玉と立った局面までの誘導率はかなりのものなので、気になった方はその局面から研究してみると面白い手順が見つかるかも知れません。

今回はこの辺で。