指す将順位戦A級1組 2回戦 vsはずさん (3)

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第11図(再掲)

さあさあ飛車がぶつかって終盤戦です。

第11図から
▲同飛 △同角 ▲41飛 (第12図)

交換した飛車を敵陣に打ち込みます。

後手は粘るなら△68角成▲同金△52銀と埋めるのが実戦的です。

以下は△31飛成に▲49飛、この手の粘りで逆転された思い出は嫌になる程あります。

ただし、このように進んだときに▲17桂が光っています。

後手は一段目に飛車を置いたまま桂馬を回収することが出来ないのです。

これだけで逆転の可能性がぐっと低くなります。

「局面」ではなく「展開」としてこのような場面を想定できたので、▲17桂を指すことが出来ました。

第12図から
△49飛 ▲57銀 (第13図)

△49飛で角に紐を付けつつ、△68角成▲同金△41飛成の素抜きを狙ってきました。

対して▲57銀と埋めるのが落ち着いた好手。

△同角成は王手ではないので、▲49飛成とこちらを取れます。

第13図から
△38歩成 (第14図)

後手は角を見捨てて△38歩成と勝負してきました。

かなり大胆な手ですが、ここは両者の読みが一致しています。

この「お互いが深く読んだ結果、盤上この一手に辿り着く快感」は早指しでは味わえない格別なものです。

対して▲46飛成か▲46銀か、最後の関門です。

第14図から
▲46銀 △48と (第15図)

▲46飛成とするのは△同飛成▲同銀△49飛▲57銀△47歩で紛れる恐れがあります。

先手の飛車が1段目から居なくなったことで、後手陣が安全になったことが大きいのです。

形勢は別として美濃囲いの勝ちパターンです。

実戦は▲46銀で飛車を盤上に残しました。

△48とで金を削られますが、そこで返し技を用意していました。

第15図から
▲同金 △同飛成 ▲26角 (第16図)

あっさりと金を払って▲26角と攻防に放つのが、△38歩成の時に長考して辿り着いた結論です。

美濃囲いを寄せるには、この角のラインと1段飛車のコンビが主軸になります。

第16図から
△38飛成 ▲44角左 (第17図)

飛車を逃げる手に、▲44角左の活用が絶品です。

88の角を44に出る手は敵陣の急所を睨みつつ、自玉の寿命を1手以上延ばせるので非常に価値の高い手になります。

紛れの多い将棋でしたが、▲26角〜▲44角左で突き放しました。

次に▲71角成と突っ込めば寄りです。

第17図から
△53銀 ▲同角成 △同金 ▲同角成 △71金打 (第18図)

結論から言うと、▲44角左で後手は既に受けなしです。

△62銀と埋めるのも▲同角成△同金引▲同角成△同金▲71銀で寄ります。

本譜は△53銀とこちらに埋めてきましたが、▲同角成と突っ込んで2枚替え。

△71金打の頑張りにも平凡な決め手があります。

第18図から
▲52金 (終局図)

▲52金とシンプルに駒を足します。

対して△同金は▲71馬で詰み。

放って置くと次に▲61金として、△同金には▲71銀、△同銀にも▲63桂で簡単に寄ります。

対して先手玉は安泰、▲52金を持って後手投了となりました。

一局を振り返ります。

序盤▲35歩から仕掛けて▲24歩の手筋でポイントを挙げました。

以下は慎重に時間を使いつつ、会心の▲17桂もあって徐々に差を広げていき、最後は▲26角〜▲44角左で明快に決めました。

「研究の下地をもとに仕掛けでリードを奪い、そのまま押し切る」という自分の理想とする将棋を指せました。

棋譜だけ追えば、100点の内容です。

ただし実際には2つ3つ指し手に迷う局面があり、本譜と違う手を選んでいたらいずれも混戦だったでしょう。

この辺りの判断の精度を高めつつ、「将棋は簡単に逆転する」ということを決して忘れずに、今後の対局に臨みたいと思います。

はずさん、対局ありがとうございました。

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この記事を書いた人

徳島の将棋好き
"急戦で先攻する"が信条
33金型早繰り銀の開発者

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