指す将順位戦A級1組 1回戦 vsたらこ1-9さん(1)

私が後手です。

初手から
▲26歩 △84歩 ▲76歩 △85歩 ▲77角 △34歩 ▲68銀(第1図)

事前にざっと調べた限りではたらこ1-9さんは本格派の居飛車党。

相掛かりが本命でしたが、角換わりのオープニングとなりこちらの土俵です。

ただし、その後の消費時間を見るに、33金型早繰り銀を狙い撃ちに来ている感はありました。

第1図から
△32金 ▲78金 △72銀 ▲25歩 △33角 (第2図)

上図から▲同角成△同金と進めば33金型早繰り銀で、私の十八番です。

実戦は▲33角成を保留して工夫してきました。

第2図から
▲48銀 △74歩 ▲36歩 △73銀 ▲37桂 (第3図)

先手は角を交換せずに右桂を活用することで、▲33角成△同金▲45桂の攻めを狙っています。

なお、角交換を先にしてしまうと▲37桂に△44歩で受かる形です。

第3図から
△64銀 ▲46歩 (第4図)

△64銀は守備の面でも大きな手で、53の地点をカバーすることで▲45桂の攻めを緩和しています。

対して▲33角成△同金▲45桂は無理筋で、△32金と引いて△55角と△44歩が残ります。

▲46歩は桂の土台を作りつつ、▲55角の筋を防いでいます。

上図から△75歩▲同歩△同銀は最悪で、▲33角成△同金▲45桂と反撃して先手大成功です。

第4図から
△22銀 (第5図)

△22銀が必修の一手。

対して▲33角成△同銀▲45桂は△22銀▲24歩△同歩▲同飛△44歩でまるで攻めになっていません。

以降▲33角成には形良く△同銀と取ります。

33金型早繰り銀を諦めたように見えるかも知れませんが、そうではありません。

33金型の意義は①囲いの最小化と②手得により、「一直線腰掛け銀」が間に合う前に仕掛けることです。

第5図では先手が右辺に手を掛けているので、後手の早繰り銀を止める術がありません。

すなわち△75歩からの攻めは約束されており、もはや33金型に拘る必要はないのです。

であるならば、先手の反撃策を消して万全の状態で仕掛けるのが理に適っています。

第5図から
▲16歩 △42玉 ▲47銀 △75歩 (第6図)

△42玉も△22銀と同じ意味で、後手陣は随分と安定しました。

▲47銀で▲45桂が完全に消えた(△37角がある)のを見て、満を辞して△75歩と仕掛けます。

戦いが始まったばかりですが、対局中は作戦勝ちを意識していました。

↓次回の記事

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この記事を書いた人

徳島の将棋好き
"急戦で先攻する"が信条
33金型早繰り銀の開発者

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