あなたはそれでも腰掛け銀の後手番を持つのか?
昨日の朝日杯準決勝、千田ー藤井戦
角換わり腰掛け銀で千田先生の研究がぶっ刺さって先手快勝に終わりました。
角換わりが棋界の覇権を握ってから暫くが経ちます。
棋譜中継を見れば角換わり、道場で小学生が指しても角換わり。
それも物凄く似た形から、凄まじいスピードで終盤まで進んでいきます。
プロの将棋をアマチュアが真似るのは今も昔も変わらず、大いに結構なことでしょう。
しかしながらアマチュア、特にアマ初段〜四段ぐらいの人が腰掛け銀の後手番を持つのは余りにも危険だと言うのが私の主張です。
それはソフト研究が浸透した現環境における、角換わり腰掛け銀・先手番の「高い誘導性」と「豊富な選択肢」によるものです。
プロが角換わりの後手番を持つの嫌がらないのは「受け方が確立されている」ことが大きな理由だとされています。
具体的には44歩を突かず、42玉〜52玉の往復運動で待つ形です。
しかし「受け方が確立されている」とは言い換えれば、「他の受け方は許されない」ということです。
即ち先手の一つの攻め形に対して後手は対応する陣形が決まっています。
これが先手番の優位性である「高い誘導性」を生み出します。
先手は自分の好きな形を一つ決めておけば、仕掛け〜優勢を確保する局面までを、時間の許す限り存分に研究できます。
それも部分的にはトッププロと遜色ない精度で。
そして現環境ではその誘導したい局面、そこから戦える局面が少なく数えても常に10以上はあって、それが毎日変化しています。
先手はこのうち一つを選んで対局に臨めばいいのです。
これが「豊富な選択肢」と表現したものです。
それでもプロが角換わりの後手番を持つ理由は二つ考えられます。
一つは「全部研究しているから」
これは明快でプロは将棋が仕事なので全力を注いで研究に没頭できます。
角換わりの後手番を持つプロ(居飛車党の大多数)は上記の10以上の局面を常に研究しています。
したがって対局でどの形が来ても「これは知らない形」ということがないのです。
そしてもう一つ、重要な点が「棋力が高いから」
当然ながら実戦ではどこかで研究を外れます。
その時に後手が「どれだけ正解に近い手を指せるか」が優劣に直結します。
事前にソフトで研究した手順を97点としましょう。
トッププロであれば、用意した97点の手順から外れた時に、自力で90〜95点の手を指し続けることは可能でしょう。
それは当然ながら「棋力が高いから」です。
しかしアマチュアでは97点から外れた直後に30点の手を指してしまうことが度々起こります。
その30点の手に先手が30点の手で返せばいい勝負でしょうが、そこで先手が97点の手を用意しておくとどうでしょう。
形勢はあっさりと先手に振れます。
それは時には取り返しのつかないほど大きく。
以上がプロが指す角換わり腰掛け銀をアマチュアが後手番で持つのは危険だと主張する根拠です。
そしてこのことを何となく感づいている人は少なくないと思うのです。
では、なぜそれでも角換わりの後手番を持つのか?
それは「他に選択肢が無いから」の一言に尽きます。
相居飛車の後手番は大雑把に2通りの戦法を選べます。
角換わりが横歩取りか
横歩取りが流行した時もありましたが、現在は青野流が猛威を奮っていて、あんなもの受けてられないと言う意見が大半です。
そしてそのようなプレイヤーは消去法として角換わりを選んでいます。
つまり今アマチュア棋界に必要なのは角換わり腰掛け銀・横歩取りに代わる後手番第3の選択肢なのです。
それも「受け身に回らない」「主導権を渡さない」ものが求められています。
皆さんそんな戦法に心当たりはありますか?
私は一つだけ知っています。
その名は“33金型早繰り銀”
↓真面目に勉強したい人用
↓とりあえず指してみたい人用
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