相掛かり6手目△14歩の構想
相掛かりの後手番で、面白いアイデアに辿り着いたので紹介します。
きっかけは将棋Vtuber 葛山わさびさんの動画「現代相掛かり概論」シリーズ(必見)
このシリーズの根幹にあるのが「先手は飛車先交換のタイミングを遅らせることで、有利な局面を作りに行く」という考え方。
裏を返せば、早々の飛車先交換では先手は有利を確保することが難しいと言えます。
そして将棋というゲームにおいて、後手が優位性を求めるならば「後出しの権利」しかないというのが私の信条。
これをアイデアとして具体化したのが「相掛かりW美濃(6手目△32銀)」でした。
ただし6手目△32銀は
①▲24歩で飛車先交換を許す
②▲76歩で角が釘付け
という2つの弱点を同時に抱えており、実戦と研究を重ねた結果、後手が互角に戦える局面を見つけるには至りませんでした。
そこで、その改良版として閃いたのが6手目△14歩です。
これに対して、先手には大きく(1)▲24歩 (2)▲38銀 の2通りの手があります。
(1)▲24歩には△同歩▲同飛△32金と戻します。
こう進めば普通の相掛かりですが、先手は既に「飛車先交換の権利」を行使しています。
すなわち、この先に先手が優位を求めるのは簡単ではないはずです。
後手も優先度が最大ではない△14歩を指しているので、その1手を咎められる可能性はありますが、かなり難易度が高そうです。
(2)▲38銀には△86歩▲同歩△同飛▲87歩△84飛と進めます。
以下△32銀〜△72銀とW美濃に組むのが理想型です。
▲76歩には△13角〜△24歩とひねり飛車の要領で戦います。
このときに先手の飛車先が切れていないというのが、6手目△32銀からの大きな改善点です。
すなわち△14歩と1手溜めることで
①▲24歩には△32金型で相掛かりにして、先手の利が少ない状態で戦う
②▲38銀には△86歩〜△84飛で「先手に飛車先を切らせずに」△32銀型を完成させ、主導権を握る
のいずれかを実現するのが6手目△14歩の狙いです。
これは正に「後出しの権利」を最大限に生かした格好です。
何回か実戦に投入してみましたが、主導権を握りやすく手応えはかなり良い感じです。
十分に戦える見込みが立てば、詳細な研究記事を書こうと思います。
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