33金型早繰り銀の実戦的諸問題(5) 〜先手▲77銀保留.5〜

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第17図を再掲します。

第17図から
▲66歩 △33銀結果図A

①▲66歩には△33銀と上がって、Y:1歩の手持ちのアドバンテージをあっさり確保することが出来ました。

これはあまりにも大きく、結果図Aは後手の大作戦勝ちです。

結果図AからYの得が具現化する局面を1つ提示して終わりましょう。

結果図Aから
▲79玉 △54銀 ▲88玉 △85桂 (参考図)

先手は▲45桂〜▲75歩〜▲53桂成と飛び込んで、▲74歩で桂を取り返すのが、相腰掛け銀での1つの攻め筋です。

ただし本譜では▲74歩に△85桂と跳べるので、まるで攻めになりません。

▲79玉〜▲88玉と固めるのにもいきなりの△85桂があります。

以下▲86銀に△65歩▲同歩△44角とコビンを攻め立てて後手優勢です。

第17図から①▲66歩として△33銀を許すのは、相腰掛け銀となって後手の条件が良過ぎます。

次に②▲24歩を見ていきます。

第17図から
▲24歩 △同歩 ▲同飛 (第18図)

先手は②▲24歩から歩交換をするのが当然の1手です。

これで X:33金型 の損は解消されましたが、Y:(後手だけ)1歩持ち の得も無くなりました。

このまま△24歩▲29飛△33銀と進めては、後手は先後同型を受け入れるしかありません。

第3の主張点を作りにいきます。

第18図から
△23銀 ▲29飛 △24歩結果図B

左銀の位置を保留していたのを活かして、Z:銀冠 を作りにいくのが冴えた構想です。

ここで局面をまっさらな気持ちで見てみましょう。

相掛かりですね。

いわゆる角換わり寄りの相掛かりです。

そして相掛かりにおいて銀冠はかなり優秀な囲いで、ほとんどの場合で矢倉に勝ります。

銀冠の優位性を確かめるべく、もう少しだけ進めましょう。

結果図Bから
▲45歩 △35歩 ▲47銀 △36歩 ▲同銀 △35歩 ▲47銀 △33桂(参考図)

先手は▲45桂と跳んでも、その先に目標物がいません。

▲45歩は次に▲46角を狙った手ですが、△35歩が1歩を活かした桂頭攻め。

参考図まで進んでいつでも△65桂の攻めがある後手ペースの将棋です。

▲45桂(△65桂)の厳しさと左桂の活用の自由さ。

この2点が矢倉vs銀冠の最大の違いです。

そして銀冠を実現できたのは、後手がギリギリまで△33金型で頑張ってきた成果です。

第17図から②▲24歩はお互いに1歩持ちあって、相掛かりの局面になりますが、Z:銀冠 の優位を得た後手が作戦勝ちです。

第13図まで戻って(a)▲87歩と大人しく収めるのは、後手も腰掛け銀に組んで、「角換わりで一方的な1歩持ち」「相掛かりで矢倉vs銀冠」のいずれかを達成できる後手の作戦勝ちとなります。

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この記事を書いた人

徳島の将棋好き
"急戦で先攻する"が信条
33金型早繰り銀の開発者

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