33金型早繰り銀の実戦的諸問題(3) 〜先手▲77銀保留.3〜
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第6図まで戻り②△54角を見ていきます。
第6図から
△54角 ▲45歩 (第9図)
②△54角は左右に睨みを効かす、33金型早繰り銀ではお馴染みの名角です。
対して▲29飛などと待つのは、△35歩▲45歩△36歩▲同銀△94歩と乱しておいて、後手満足の展開です。
最後の△94歩で後手を引いていますが、先手陣のまとめ方が難しいです。
△54角には▲45歩と反発するのが当然の一手です。
ここで1つ残念なお知らせがあります。
第9図は33金型早繰り銀vs先手37桂型での局面と非常によく似ています。
第9図から仮に△94歩▲77銀と進めば、定跡形に合流します。
すなわち本譜は定跡形より、後手が△94歩、先手が▲77銀をそれぞれ指していない計算になります。
そしてこの2つの要素がどちらも先手にプラスに働いています。
すなわち第9図は定跡形と比べて後手の条件が悪いのです。
定跡形の着地点が後手良しだったので、このことから第9図を先手良しとするのは早計ですが、実際にここから後手が互角を保つ手段は簡単ではありません。
第9図から
△86歩 ▲同歩 △同銀 (第10図)
▲45歩に△同歩と取るのは▲56銀△42飛に▲43歩がぴったりで先手優勢です。
以下△同金には▲55角、△同角には▲45桂、△同飛には▲82角がどれも痛いほど刺さります。
75銀の形では、△42飛と回る手は基本的に成立しません。
△86歩から前を向いて攻めます。
第10図から
▲55角 (第11図)
▲55角が飛車のコビンを狙う定番の反撃です。
対して△73歩と自然に受けるのは、▲66角と1つ引くのが洒落た好手になります。
以下△87歩には▲79銀で、7筋に歩が立たないため後続が無く、△87銀成にも▲同金△同角成▲83歩△同飛▲84歩で先手優勢です。
第11図から
△85飛 ▲91角成 △87銀成 ▲同銀 △同角成 ▲77桂 (第12図)
△85飛は手番を握るための緊急避難。
これでリードを奪えることも多いので、覚えておきたい一手です。
後手は87の地点で精算を目指しますが▲77桂が△85飛を咎めて味の良い活用。
上図から△86飛は▲87金△同飛成▲49玉で取れるはずだった桂に逃げられて攻め駒が足りません。
第12図から
△同馬 ▲同金 △89飛成 ▲69香 △76歩 ▲同金 △78歩 ▲44歩 △79歩成 ▲49玉 △69と ▲45桂 (結果図)
後手は馬を切り飛ばして攻め続けます。
と金を作りひたひたと迫りますが、結果図の▲45桂が絶品です。
▲33桂成〜▲43歩成の寄せを見つつ、91の馬を自陣に利かせることで自玉の耐久力が上がっています。
後手は戦力不足が否めず、角桂交換の駒損が響いています。
第6図から②△54角は難しい将棋ですが、どうやら先手に分がありそうです。
戻って第1図から(b)△64銀は先手の▲77銀保留の工夫が功を奏して、後手の攻めが届きません。
以上より基本図から(1)△74歩は先手有利とします。
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