先手中飛車対策 角交換ミレニアム(6) 〜▲88飛の変化.5〜
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第1-2図まで戻り、(b)▲66銀と上がる手を見ていきます。
第1-2図から
▲66銀 △21玉 ▲77桂 △32金 (第1-25図)
▲66銀〜▲77桂は好形とされていて、角交換振り飛車の1つの理想形です。
後手は▲66銀の瞬間を逃さず、△21玉からミレニアムに組みます。
▲77桂に対しては△32金で囲いを一旦完成させて、先手の強襲に備えておくのが重要です。
金銀2枚のミレニアムなので片ミレとでも呼びましょう。
強度はさほどでもないですが、21玉の遠さと44銀・33桂の攻撃力を武器に戦います。
△32金に代えて△52金から金銀を寄せにいくのは、▲71角△83飛▲58飛のように動かれて危険です。
第1-25図から
(1)積極的に動く▲85桂
(2)駒組を進める▲89飛
を順に見ていきます。
第1-25図から
▲85桂 △55歩 (第1-26図)
(1)▲85桂は有名な飛び膝蹴り。
桂を犠牲に飛車先を逆襲する狙いです。
対して素直に△同飛と取るのは、▲86歩△82飛▲85歩△55歩に手抜きで▲84歩と攻められて大変です。
先に△55歩と突き捨てるのがここでも手筋です。
対して▲86歩は△56歩と取り込んで、いつでも△84歩〜△85歩を狙える後手が十分です。
このタイミングなら先手は▲同歩と応じるしかありません。
第1-26図から
▲同歩 △85飛 ▲86歩 △82飛 ▲85歩 △52飛 (第1-27図)
桂馬を回収した後は、8筋を見捨てて△52飛から中央での戦果を目指すのがミレニアムの戦い方。
上図まで進んで△55歩▲同歩の突き捨てが活きています。
次に△55銀がありますが、▲58飛には△87角があるため、先手としても受けは利きません。
第1-27図から
▲84歩 △55銀 ▲同銀 △同飛 ▲66銀 △51飛 ▲83歩成 (第1-28図)
▲55銀から銀歩を手持ちにし、後手好調です。
△57桂と△77角の傷がある先手は△55同飛に▲66銀と埋める一手なのが辛いところ。
△51飛と一段目に引くことで、▲72とに△同金が可能になった点は見逃せません。
ここから後手は駒得を活かして攻めを継続します。
第1-28図から
△15歩 (第1-29図)
△15歩が急所の端攻め。
「2歩と桂を持ったら端攻め」は対振り急戦の基本ですが、ミレニアムでは33の桂が活躍してくれるので「1歩と桂を持ったら端攻め」の心意気でいきましょう。
先手としては
①面倒を見る▲同歩
②攻め合いを目指す▲52歩
の対応が考えられます。
第1-29図から
▲同歩 △17歩 ▲同香 △25桂 (第1-30図)
△17歩と垂らすのが定番の手筋で、次に△16桂を狙っています。
対して▲同桂には△16桂▲18玉に△58角の豪打が炸裂します。
金で取っても飛車で取っても、△同飛成〜△28金で先手玉は詰みです。
したがって先手は▲同香の一手ですが、△25桂の追撃が利くのがミレニアムの良いところ。
対して▲16香と逃げるのには△24桂がぴったりの決め手になります。
第1-30図から
▲26歩 △17桂成 ▲同玉 (第1-31図)
▲26歩は再度の△25桂や△25銀を防ぐ手筋の受けですが、上図まで進んで先手玉はかなり不安定な形になりました。
後手からの決め手があります。
第1-32図から
△45角 (結果図)
△45角がトドメの一撃。
△67角成を防ぐには▲68金ぐらいですが、そこで△15香が刺さります。
対して▲16歩は△同香▲同玉△18角成、▲28玉は△18香成でいずれも後手勝勢です。
△15歩に①▲同歩 と取るのは、先手の持ち駒が乏しいこともあって、端から崩壊します。
第1-29図から
▲52歩 △同飛 ▲72と (第1-33図)
②▲52歩 は△16歩には▲18歩と謝ることにして、攻め合いに活路を求めた手です。
飛車の位置を変えてから▲72とと入ることで、△同金に▲81飛成を可能にしています。
一見すると厳しそうな攻めですが、後手からの返し技があります。
第1-33図から
△87歩 ▲同飛 △86歩 (結果図)
先の▲52歩によって2枚目の歩が入ったことを活かします。
△87歩〜△86歩の連打がぴったりのカウンターです。
対して▲同飛は△64角▲81飛成△36桂▲18玉△16歩で受けなし。
▲88飛と引くしかありませんが、△72金と払っておいて後手陣に怖いところはありません。
▲15歩と戻すのにはやはり△17歩が刺さるため、次の△16歩が約束されています。
駒得に加えて陣形にも差が生じており、後手が勝勢に近い優勢です。
第1-25図から(1)▲85桂と動いてくるのは、得した桂を使った端攻めが厳しく後手優勢です。
次回は(2)▲89飛の変化を見ていきましょう。
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