先手中飛車対策 角交換ミレニアム(2) 〜▲88飛の変化.1〜

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△32玉に▲88飛と回る手を見ていきます。(第1-1図)

後手の玉形が不安定なうちに、8筋から仕掛けてやろうという狙いです。

第1-1図から
33桂 (第1-2図)

▲88飛の局面では居飛車の手が広いところで、▲86歩に備えるなら△42銀や△42金、▲86歩は怖くないと見て△57角と打ち込む手もかなり有力です。

本譜は攻撃力を高めつつ、ミレニアムへの移行を見据えた△33桂を採用します。

対して先手の手段として、第1-2図から
(a)すぐさま仕掛ける▲86歩
(b)力を蓄える▲66銀
を順に見ていきます。

第1-2図から
▲86歩 △同歩 ▲同銀 △55歩 (第1-3図)

(a)▲86歩からの逆棒銀は、後手の陣形が中途半端なのもあって、こうやってみたいところです。

対して、後手の方針は「8筋は明け渡して中央でポイントを稼ぐ」こと。

86歩△同歩▲同銀に△55歩が手筋の反撃です。

先手は57の地点に駒が利いていないので、5筋のと金作りが受けにくい情勢です。

なお▲86歩△同歩に▲同飛は△同飛▲同銀に△82飛と自陣飛車を放ちます。

対して▲87歩は△88歩で後手が良いので▲88飛と打つことになりますが、▲86歩△同歩に▲同銀と進んだ局面に合流しています。

第1-3図からは(1)▲84歩 (2)▲同歩 の2通りの応手が考えられます。

第1-3図から
▲84歩 △56歩 ▲75銀 △52飛 (第1-4図)

▲84歩はこの場合の手筋で△同飛には▲39角が狙いの一着。

以下△82飛▲55歩△同銀▲84歩と進んで、次の▲75銀〜▲83歩成より早い攻めが無いため、先手ペースです。

39に打った角が後の△57歩成や△55銀に当たらず、安定した位置となっています。

▲84歩には△56歩と取り込み、▲75銀に△52飛と中央で勝負するのが、当初の方針通りの展開です。

かなり後手の調子が良いように見えるかも知れませんが、次の△57歩成が先手にならないため、見た目より大変な形勢です。

第1-4図から
▲83歩成 △71金 (第1-5図)

▲83歩成には△71金と一度受けておくのが肝心な一手です。

先手が歩切れで▲82歩と打てないのがポイントです。

代えて△57歩成と真っ直ぐ行くのはその瞬間が甘く、▲72とと攻め合われて大変です。

第1-5図から
▲96角 △57歩成 ▲63角成 (第1-6図)

△71金で先手が困ったようですが、▲96角が攻めを続ける唯一の手で、後手は次の▲63角成を受ける術がありません。

勢い△57歩成▲63角成と攻め合い、迎えた上図。

ここで△56飛とかわすのは▲58歩がぴったりの受けになります。

直前の▲63角成によって生じた手段で反撃に転じます。

第1-6図から
△68歩 (第1-7図)

6筋の歩が切れたため、△68歩が厳しい手になります。

対して▲59金左は△58歩で金が取れ、▲79金にはそこで△56飛とかわせば▲58歩の受けが消えています。

次の△58とが甚だ厳しく、後手の攻め合い勝ちです。

第1–7図から
▲52馬 △同金 (第1-8図)

▲52馬と根元の飛車を払って、後手陣は随分弱体化しました。

一方で先手も57のと金に迫られ、69の金は当たりになっています。

果たしてどちらの攻めが早いのか。

殴り合いの最終盤に突入です。

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この記事を書いた人

徳島の将棋好き
"急戦で先攻する"が信条
33金型早繰り銀の開発者

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