↓前回の記事
第0‐8図まで戻り、(2)55歩とする手を見ていきます。
※本記事以降は手順の難しさが一段上がります。
とりあえず金無双急戦を指してみたいと言う方は「下図まで進んでいい勝負」という認識で大丈夫です。

同歩同角は先手良しなので後手はここで攻めることになります。
手段として69飛or79飛の2通り
更に次の54歩に対しても54同銀or44銀の2通りの対応があり
合計4通りの分岐があります。
それぞれのデメリットをあげると
69飛:78角or78銀が飛車に当たる
79飛:78角or78銀打で動けない、75飛に57角がある
54同銀:53歩・55歩・59歩が生じる、84飛が銀桂の両取りになる
44銀:54歩が拠点として残る、44角と切る手が生じる
といったところです。
この組み合わせがどれも難しくすべて追うととんでもない文量になるので、後手の対応を一つに絞り、残りの3つはさっと説明するに留めます。
(a)69飛→54同銀
第0‐8図から
▲55歩 △69飛 ▲54歩 △同銀 ▲78銀 (第0‐19図)

78銀は飛車の入手を狙った手です。
後手は(1)65飛成 (2)79飛成のどちらも有力です。
第0‐19図から
△65飛成 ▲55歩 △同銀 ▲83角 (第0‐20図)

先手は一本55歩を利かせてから飛車の両取りを放ちます。
第0‐20図から
△75龍 ▲55角 △78龍 ▲72角成 △同龍 ▲91角成 (結果図)

なんとも派手な応酬ですが結果図まで進んでバランスが取れています。
駒割としては香vs歩2枚という構図
先手は美濃が丸々生きていますが、57歩や15歩が飛んでくるので見た目ほどの耐久力はありません。
一方の後手玉も現状は大丈夫ですが飛車を下ろされる展開になると手が伸びません。
また53歩の叩きがある為、後手の歩を渡す攻めもかなり反動があります。
結果図は難解な形勢で人によって判断が分かれそうなところです。
第0‐19図から
△79飛成 ▲53歩 △同金 ▲68金 (第0‐21図)

(2)79飛成には68金で龍を捕獲しに行くのが先手の狙い筋ですが、その直前に53歩を利かすのが好手。
意味は本譜を追えばわかります。
第0‐20図から
△75飛 ▲66角打 △68龍 ▲75角 △78龍 (第0‐21図)

後手は攻めを続ける為に75飛と走る一手です。
対して69金には77飛成同桂99龍で後手良し
66角打にも68龍が切り返し、上図となっては2枚換えを実現した後手が大成功に見えます。
ところがここまで先手の手の平の上、ここから3手で景色が一変します。
第0‐21図から
▲53角成 △同金 ▲72飛(結果図)

53角成が次の一手のような好手、53歩同金の利かしはこの手を狙ったものでした。
72飛と王手で下ろした結果図は先手優勢
52歩には33角成が決まるので21玉と頑張るのでしょうが、42金と迫るのが良く、同銀同飛成で後手崩壊です。
後手が変化するなら53歩を手抜いて78龍61角62飛52歩成同金83角成でしょうか。

やや先手が勝ちやすそうにも見えますが、これは互角の範疇だと思われます。
(a)69飛→54同銀はかなりいい勝負で、後手としてはこの変化を選ぶ価値は十分にあります。
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