前回の記事で触れた「55角問題」に挑みます。
33金型早繰り銀(2) (前回の記事)
下図は後手陣に隙ありと見た先手が55角と放った局面です。(第1-4図とします)
この角で先手が良くなれば33金型早繰り銀が戦法として破綻しています。
第1-4図から
△73銀 ▲24歩 △同歩 ▲33角成 △同桂 ▲24飛 (第1-5図)
第1-5図までは必然の進行です。
第1-5図から
△22銀 ▲23歩 △31銀 (第1-6図)
22銀と銀で受けて23歩と打たせることで先手の飛車先を重くするのがポイントです。
第1-6図から先手には (a)21金 (b)34飛 の二通りの攻め方が考えられるので順に見て行きます。
第1-6図から
▲21金 △45桂 ▲31金 △57桂成 (第1-7図)
21金には気持ち良く45桂と跳ねて行きます。
これに先手が48銀と受けるのは以下、32銀22歩成21銀同と57桂成同銀35角(下図)で後手優勢です。
途中32銀から銀を捌いておくのが大事で、これを怠ると最後の35角に34飛が銀取りになります。
48銀は受けにならないので先手も31金から攻め合いますが、玉頭に大きな拠点ができました。
先手は歩切れなのが泣き所です。
第1-7図から
▲22歩成 △47成桂 ▲32と △57角 ▲22飛成 △62玉 (結果図)
22歩成は遅いようですが、先手は飛車を成り込まないことには攻めになりません。
対して47成桂から57角が厳しい攻め、次に24角と39角成を狙っています。
22飛成は一度詰めろで入りますが、62玉とかわして結果図。
先手は39角成を受ける必要がありますが、48銀は同成桂同金同角成同玉69角(下図)で寄り形です。
無理やり受けるなら48銀打ぐらいですが、同成桂同銀46角成(下図)と自然に進めて後手優勢です。
先手は攻め駒が少ない上に渋滞しています。
33とがやりたい手ですが、すかさず71玉と引かれて飛車を渡すと先手玉は持ちません。
先手玉もすぐには寄りませんが、後手玉の安全度が測りやすいため、先手の攻めを丁寧に見つつゆっくり攻めれば、先は長いですが後手が負けない将棋です。
第1-6図に戻り(b)34飛 を見て行きます。
第1-6図から
▲34飛 △42玉 ▲24飛 △35角 ▲28飛 △26歩 (第1-8図)
34飛に42玉は不安定ですがこの一手の受け、代えて32歩では24飛と戻られて2筋が受かりません。
42玉に21金は25角24飛15角(下図)と飛車を捕獲して後手優勢です。
しかし42玉と受けさせてから24飛と戻るのが巧妙な指し方。
24飛に21歩と打てば局面は収まりますが、これには先手も58玉と立って傷を消しておきます。
上図は角と金歩の交換ですが玉型が大差なことに加え、先手からは桂頭攻めという明確な目標があります。
互角の範疇かもしれませんが実戦的にかなり後手が勝ち辛い将棋と言えます。
したがって後手も強気の受けで飛車を押さえ込みに掛かります。
第1-8図から
▲68玉 △27角 ▲38銀 △54角成 ▲34金 △45馬 ▲35金 △同馬 (結果図)
後手は馬を作ることに成功しましたが、先手も駒損を回復して迎えた結果図は一局の将棋としか言いようがありません。
後手の馬を手厚いと見るか不安定と見るかでかなり好みが分かれそうな局面です。
個人的には若干ながら後手持ちです。
以上より、第1-6図から (a)21金 は後手優勢 (b)34飛 は一局の将棋 となりました。
先手から55角と打たれても後手が悪くはなりません。
したがって「55角問題」はこれにてクリアしました。
コメント