異世界向かい飛車

米長邦雄は言った。

「矢倉は将棋の純文学である。」

対して、彼は言った。

「俺は異世界転生ものの方が好き。」

〜完〜

と言うわけで今回は先手矢倉に対する陽動向かい飛車を紹介します。

古い手法ですが矢倉が▲66歩型から▲77銀型に戻った今、再び有力となっています。

「角換わりなら後手を持っても良いけど、矢倉は嫌い」なんてワガママさんなプレイヤーには打って付けの戦法です。

初手から
▲76歩 △84歩 ▲68銀 △34歩 ▲77銀 (第1図)

矢倉の定跡形です。

ここから後手は△53銀型を作りに行きます。

第1図から
△42銀 ▲26歩 △54歩 ▲25歩 △33角 ▲56歩 △53銀 (第2図)

後手の駒組みに違和感を覚えるのは上図の△53銀を見た時でしょう

それまでは雁木に見えるので、無警戒な先手なら▲78金を決めてくれて笑いが止まりません。

本譜は先手が最も用心した手順を採用していますが、実戦ではより良い条件になっていることがほとんどです。

第2図から
▲48銀 △22飛 (第3図)

びゅーんと飛車を振り回して、してやったりです。

ここは三間飛車や中飛車に構えるのも有力です。

ただし後手は組み上がるまでに84の歩が狙われる恐れがあるので、先手の▲79角〜▲24歩を防ぐ向かい飛車が最も相性が良さそうです。

先手が隙を見せれば△24歩▲同歩△同角の仕掛けも狙えます。

以下はどうやっても一局ですが、1つだけ例を挙げておきましょう。

第3図から
▲57銀 △62玉 ▲68玉 △72銀 ▲78玉 △71玉 ▲58金右 △82玉
▲79角 △74歩 ▲88玉 △73桂 ▲66歩 △64歩 ▲67金 △52金左
▲78金 △63金 (結果図)

普通の美濃囲いに組めるのが異世界向かい飛車の良いところです。

上図となっては後手は一般的な向かい飛車。

と見せかけて△44歩を突いていないので、実はかなり得をしています。

一方の先手陣は居飛車穴熊を目指していますが、角の働きが悪く、歪な形になっています。

それもこれも序盤に▲77銀と上がった為です。

結果図から▲98香と上がってきたら、すかさず△65歩と仕掛けて気分は優勢です。

穏やかな人は先手の2手損(▲77銀→▲88銀)に満足して銀冠に組んでも十分でしょう。

他にも△64銀型に組んでみたり、もっと早い仕掛けを狙ったりと、自分の色を出しやすい戦型です。

異世界向かい飛車、かなりおすすめです。

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この記事を書いた人

徳島の将棋好き
"急戦で先攻する"が信条
33金型早繰り銀の開発者

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