ちょっとしたMy定跡 ~先手早繰り銀編.1~

声を大にして「研究です!」と言うほどじゃないけど、実戦でたまに出てくるお気に入りの形や手順

そんなちょっとしたMy定跡を紹介していきます。

第1回は先手早繰り銀

巷で極限早繰り銀と言われている形に近いものです。

一つ違うのは角道をしばらく開けない点

こうすることで後手からの横歩取りを消しています。

代わりに36の歩を取られる可能性があるのですが、その先に乱戦チックで面白い変化があるのでその世界を覗いてみましょう。

初手から
▲26歩 △34歩 ▲25歩 △33角 ▲48銀 (第1図)

飛車先を決めてから▲48銀と構えるのが本戦法のオープニングです。

角道を開けないことで横歩取りや一手損角換わり、角交換振り飛車を避けて、こちらの土俵で戦いたいという意図があります。

第1図から
△84歩 ▲36歩 △85歩 ▲78金 (第2図)

さあ後手はずんずんと飛車先を突いてきました。

先手は▲76歩を保留することで、後手からの△76飛を消しています。

ところがどっこい、今度は36の歩が浮いています。

後手からするとおいしい餌に見えます。

飛びつくとどうなるのでしょうか?

第2図から
△86歩 ▲同歩 △同飛 ▲87歩 △36飛 ▲37銀 △35飛 ▲46銀 △85飛 (第3図)

先手は素直に対応し、後手は難無く1歩得を果たしました。

代償として先手の銀を46まで出させましたが、中段飛車の働きが抜群で、ぱっと見では先手失敗の局面です。

第3図から
▲76歩 (第4図)

ここまで待ってようやく主役の登場です。

後手陣は金銀が動いていないため、不安定な歩が多くなっています。

そこを狙っていきます。

角交換を拒否する(1)△44歩 と応じる(2)△42銀 を順に見ていきます。

第4図から
△44歩 ▲55銀 △84飛 ▲38飛(第5図)

今突いたばかりの44歩を狙って▲55銀と動きます。

歩得が無くなると後手は手損だけが残るので△84飛はこの一手です。

先手は▲38飛として、今度は34の歩に狙いをつけます。

第5図から
△45歩 (第6図)

▲38飛に対しても△45歩が飛角の利きを通しつつ歩を逃げて絶好の一手に見えます。

先手は何をしているんだと言われそうですが、次の一手を狙っていました。

第6図から
▲37桂 (結果図)

飛車の前に跳ね出す▲37桂が見えにくい絶好手

ここまで温泉気分で指していた後手はこの桂跳ねを見て青ざめてくれるでしょう。

次の▲45桂が歩損を解消しながら攻め駒を進める手で、先手の飛角銀桂が一気に働き出します。

第4図から(1)△44歩は先手の両腕を振り上げた全力攻めがクリーンヒットします。

↓次回の記事

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この記事を書いた人

徳島の将棋好き
"急戦で先攻する"が信条
33金型早繰り銀の開発者

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