3手目25歩に論理はあるか(2)

前回の続きです。

3手目25歩に論理はあるか(1)(前回の記事)

久保先生と菅井先生が3手目に25歩と突かれることが特別多いと前回の最後に述べました。

二人の共通点は明白で「棋界トップクラスの振り飛車党」です。

さらに言うと、両者ともゴキゲン中飛車と角交換振り飛車を武器にしています。

もちろん三間飛車や四間飛車も指されますが、振り飛車党にとってゴキゲン中飛車は長い間後手番の絶対的エース戦法でしたし、菅井先生が斬新な角交換振り飛車で羽生先生から王位を奪取したことは記憶に新しいでしょう。

これらを封じられる3手目25歩の恩恵は確かに大きそうです。

菅井先生の2018年4月〜12月の公式戦32局のうち、棋譜DB2で棋譜が見つかった30局を調べてみました。

先手番が11勝3敗、後手番が3勝13敗という成績でした。

驚きました。

後手番で苦労されているというイメージは確かにありましたが、ここまではっきりと数字に出ているとは想像していませんでした。

そして菅井先生が後手番となった16局のうち先手が3手目25歩を選択したのが10局ありました。

結果は菅井先生の0勝10敗。

3手目25歩は残酷なまでにその効果を発揮しています。

プロ棋士は勝つのが仕事ですから、ここまでの実戦的な効果があるのなら多少の理論的かつ潜在的な損には目を瞑る判断をするのも仕方ないのかなと思います。

一方、菅井先生も3手目25歩に対し振り飛車を指し続けてきました。

菅井先生は振り飛車党と述べましたが、正確には振り飛車中心のオールラウンダーです。

今年度も数こそ少ないですが角換わりを指しています。

つまり3手目25歩に対して居飛車を選択することは出来たはずです。

それを何故しなかったかは私にはわかりません。

ただ居飛車をやらないならと、先手が3手目25歩を選びやすくなっているのは間違いありません。

もし菅井先生が居飛車を採用し、角換わりで84歩型が活きて作戦勝ちとなる将棋になれば先手も3手目25歩を採用しづらくなるでしょうから、そのメリットはかなり大きいはずです。

そしてそのタイミングを狙っていたのでしょうか、3手目25歩に対して頑なに振り飛車を指し続けた菅井先生が居飛車で戦う対局が現れました。

12月16日放送のNHK杯3回戦、相手は羽生先生です。

続きます。

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