端角中飛車の鎮め方(2) 〜端角中飛車対策△63金型〜
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第4図からの指し方を見ていきます。
第4図から
▲48玉 △94歩 ▲56飛 (第5図)
△94歩が大事な一手。
角を切って2枚替えの筋が効かないので、△95歩を受けて▲56飛と上がる必要があります。
先手は金銀が一段目のまま、飛角が空中に構える格好となりました。
後手はこの不安定な大駒2枚を金銀で抑え込みに掛かります。
第5図から
△42玉 ▲38玉 △62銀 ▲28玉 △32銀 ▲38銀 △34歩 (第6図)
先手は動く手段が無いので、ひとまず美濃囲いに組み上げます。
後手も中央を厚くし、△34歩で構想が動き出します。
先手中飛車対策の一つで、次に△33銀〜△44銀〜△55銀で5筋の位を強奪する狙い。
先手の飛車を56に呼んだ効果で迫力満点です。
第6図から
▲68銀 △33銀 ▲57銀 △44銀 ▲46銀 (第7図)
△55銀をモロに喰らうと試合終了なので、先手も左銀を繰り出し対抗します。
▲46銀に代えて▲66銀とこちらに上がるのは△95歩が刺さります。
先手は飛車の利きを96まで通し続けなければならないので、駒組みに大きな制約を受けています。
第7図となって均衡が取れているようですが、先手の銀を46の地点まで呼んだのがポイント。
これで先手からの▲36飛や▲26飛といった揺さぶりを消しています。
すなわち先手の飛車の可動域を狭めることに成功したのです。
ここまでが準備工作、満を辞して主役の登場です。
第7図から
△74金 (第8図)
ずっと飛角を封じ込めていた63金をここで繰り出します。
次に△65金▲59飛△63銀となれば抑え込み完了ですが、▲66歩のような受けは△95歩があるため無効です。
敷かれたレールだとしても、先手は▲54歩と動いていくよりありません。
第8図から
▲54歩 △同歩 ▲同飛 △95歩 (第9図)
飛車の横利きが外れたタイミングで端攻めを決行します。
対して▲64角と切り込んでくるのは△53歩が冷静な決め手。
また▲79角などと逃げるのも△55歩で飛車を捕獲してそれまでです。
上図から▲同歩が最後の関門です。
第9図から
▲同歩 △63銀 ▲56飛 △95香 ▲96歩 △65金 (結果図)
▲95同歩に△同香は勇み足。
▲64角△同金▲同飛△99香成▲83金で逆転します。
△63銀で64歩を支えるのが丁寧な指し方。
代えて△53銀上は飛車切りの筋が生じます。
角頭を守る▲56飛に△95香〜△65金で結果図。
以下は▲59飛と引くぐらいですが、△96香で駒得確定です。
囲いの強度に差があるので、すぐに勝てるわけではありませんが、後手の優勢は明らかです。
まとめます。
①△63金型を作り角の利きを遮る。
②△94歩で端攻めを見せ▲56飛を決めさせる。
③△44銀で飛車に圧力を掛け、左銀を46に誘い込む。
④△74金から抑え込みを見せる。
⑤▲54歩△同歩▲同飛のタイミング端攻めを決行する。
以上の手順で端角中飛車からの先攻を許さず、優勢まで持っていけます。
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