王座戦が大熱戦でそちらも取り上げたかったのですが、糸谷先生の会心譜を。
角換わりで先手の糸谷先生が78金を保留して早繰り銀に出る趣向を見せました。
この33角は好きな手で、私もこの局面なら迷わず打つのですがこの後の指し方がなんとも難しくとても参考になる進行でした。
少し進んで下図
先手も着々と攻撃態勢を整えていますが、後手が33角の効きを最大限に活かし65桂と襲いかかったところです。
ここでは後手が指しやすそうにも見えましたが、先手の次の手が驚きでした。
それが34歩!
非常に悩ましいタイミングで、22角と引けば33桂や15角が残り、44角と出れば66銀とかわされて角の当たりが強いです。
本譜は同銀と取りましたが、これははっきり先手が利かした形で後の48銀が銀取りとなりました。
しかしながら後手も豊富な歩で拠点を作って、猛攻を仕掛けてきます。
豊島先生にこんなことやられたら生きた心地がしませんが、糸谷先生も綱渡りの受けで凌ぎます。
そして迎えた下図
ここから87歩81飛で“先手の角が使えず後手良し”が控え室の見解だったようですがここから糸谷先生の会心の手順が生まれます。
上図から
▲77玉! △81飛 ▲88飛!!
糸谷調全開の玉上がりから飛車ぶつけが惚れ惚れする三手一組。
同飛成同玉と進みましたが後手の陣形は飛車に弱く、何より98角がこの上ない好位置となり後手玉を睨み続けます。
これで一気に視界が開けました。
以下も熱戦が続きましたが、豊島先生必死の突撃をぎりぎりのところでかわし切って167手で糸谷先生の勝利となりました。
なおこの対局では角打ちが先手後手ともに5回ずつ出ていて、そのほとんどが攻防手でした。
このことも大熱戦を物語っていますね。
あっという間に2冠になり最も勢いのある豊島先生相手にこの勝ち方。
「豊島時代到来か?」の声も上がっていましたが、群雄割拠の戦国時代はもうしばらく続きそうです。
ー本日の勉強ー
詰将棋 30問 棋譜並べ 1局 実戦 2局 (2勝 R2155→R2189)
いい感じ
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