極限自戦記No.01(2)

極限自戦記 No.01(1) (前回の記事)

さて先手が25歩と合わせて2筋の突破を図ったところまで進みました。(第5図)

 

次の一手は62飛か76銀と読んでいましたが意外な手が飛んできました。

第5図から
△54金 (第6図)

 

自陣の金を繰り出しこちらの銀に当てており、それだけ見れば自然な手なのですが、当然ながら先手に次の切り返しがあります。

第6図から
▲55銀(第7図)

 

この55銀が当てられた銀を金に当て返してぴったりの一手です。

第7図から
△同金 ▲同歩 (第8図)

 

第8図までは自然な進行ですが、ここで私は局面が良くなったと感じました。

理由としては以下の2点

(1)大きな駒得であること

一般的に金銀交換では金の方が僅かに価値が高いとされていますが、当然ながらそれは局面によって変わってきます。

そしてこの将棋においては金の価値がすこぶる高いと感じていました。

体感的には角銀交換ぐらいの駒得です。

なぜ金の価値が高いかについては後述します。

(2)後手の角を抑え込めたこと

54金55銀同金同歩の順で先手の歩が55まで伸びました。

これがすこぶる大きいのです。

後手は少ない攻め駒で攻めの形を作る必要がありますが、第5図の段階ではいつでも45歩が決戦の手段として存在し、先手はそれを警戒して駒組を進める必要がありました。

ところが5筋の歩が55まで進んだことで後手からの45歩が全く怖くなくなりました。

すなわち後手の角の(潜在的な)働きが大いに低下したのです。

そして働きの落ちた角は2筋から伸びていく歩の格好の目標です。

(1)駒得と(2)駒の働きという2点において先手はここ数手でポイントを上げることに成功しました。

そしてこれを引き起こした54金は疑問手、第8図は先手良しというのが対局中の判断です。

※対局中はここまではっきりと言語化しているわけではありません。

本譜に戻ります。

第8図から
△62飛 (第9図)

62飛は当然の一手で、代えて76銀には75金があります。(下図)

以下65銀打には66歩、先手は銀二枚を召し捕ることができるので後手の攻めは完切れです。

そしてこの75金があることで、6,7筋での銀の進出に強い制限を掛けていること。

これが金銀交換を大きな駒得と表現した理由です。

 

さて迎えた第9図は先手良し、ここからは後手の攻めを見切りつつ2筋の突破を間に合わせれればリードを広げられます。

ところで、私はこの対局でそれとわかる悪手を3つ指しています。

そしてそのうち最大の悪手が第9図からの次の手です。

続きます。

極限自戦記 No.01(1)

タイトルのセンスはとりあえず置いておきましょう。

自分の指した将棋から「対局中に何を考えていたか」に焦点を絞り、1手1手の意味を可能な限り丁寧に振り返ります。

私の棋力(24で四段)ぐらいの人が「何故その指し手を選んだか?」が少しでも伝われば幸いです。

舞台はアマ名人戦徳島県予選、勝てばベスト16で二日目に残ります。
対するは徳島大学のエース、県内1,2を争う強豪で格上です。

では参ります。

第1図 24手目△52金左まで

後手四間飛車に対する57銀左急戦の基本形と呼べる局面です。

ここから先手には棒銀、斜め棒銀、45歩早仕掛け、5筋位取りなど多様な作戦があります。

私はそれらとは違う作戦を選びました。

第1図から
▲37桂 (第2図)

ここで桂を跳ねるのが愛用している形です。

以前記事にしたので良ければそちらも参照してください。

37桂システム(1)

対して①54歩 ②64歩 ③54銀 が考えられますが実戦は③54銀を選ばれました。

一番の強敵となる指し手です。

第2図から
△54銀 ▲66銀 △64歩 ▲55銀 (第3図)

66銀から55銀とぶつけていくのがこの戦法の骨子で、狙いは以下の記事に少し詳しく書いてあります。

37桂システム(3)

ここでまた後手は三択で①55同銀 ②63銀 ③65銀があります。

実戦は迷わず③65銀でやはり一番厄介な指し手です。

この辺りは研究範囲ではないと思うのですが、感覚で一番いい手を選ぶあたり流石だなと対局中は舌を巻きました。

第3図から
△65銀 ▲24歩 △同歩 ▲64銀 △43金 (第4図)

この43金で私の研究を外れました。

ここは76銀の一手だと考えていて、以下55銀と戻って①22歩と②35歩同歩34歩を狙いにしてどうかという将棋です。(下図)

43金というのは62飛を可能にし飛車のさばきを優先させた手です。

同時に3,4筋を手厚くしているので22歩も35歩も利きません。

したがってこの局面での指し手は限られていて、浮かんだ順に①97角と②25歩を読みました。

①97角には62金と上がられて、79角に45歩と角道を開けられるのが受け辛い手です。(下図)

以下88角ぐらいですが同角成同玉54金(下図)、これは後手の美濃囲いが乱れているようでも61歩の底歩が利くためかなり堅く、居飛車がまずそうです。

だいたいこのあたりまで読んで①97角を切り捨てました。

※実際にはその前に97角52飛22歩の変化なども読んでいますが、途中で62金の方が困りそうだと思い読む順番を切り替えました。
62金に対し良い攻め方が見つかればそこで改めて52飛を読みます。

この時点で次の指し手は消去法的に②25歩に決まりますが、返し技がないかを少しだけ確認してから着手しました。

第4図から
▲25歩 (第5図)

25歩というのは相手が76銀と出てないから可能な手であり、一番自然な手と言えます。

そして同歩と取れない為、これで部分的に2筋が受かりません。

したがって後手は玉頭方面から攻めてくることになります。

また先手の2筋突破は確実な一方、スピードには欠けるので真っ直ぐな攻め合いは後手に分が有ります。

すなわち今後の展開として「後手の攻めをいなしつつ、2筋からの飛車の成り込みを間に合わせる」が先手の目指すべき勝ち方であり、25歩というのはこのような展開を受け入れる覚悟を決めた手でもあります。

続きます。

最高の後輩たちへ

GWに岡山で開催された中四国学生将棋大会で広島大学は団体戦A級優勝、個人戦も主将が優勝し、ベスト4に広大生が3人という輝かしい成績を上げました。

その祝勝会が先日、広島市内であったのでOBとして参加してきました。

そこで気の利いた一言でも言えれば良かったのですが、久しぶりに会った先輩や同級生と盛り上がってしまい、「祝勝会」であることを忘れてしまっていたのでここにお祝いの言葉を残します。

 

まずは君たちに謝りたい。

いつも部室にいる、とりあえず部室行けばあの人がいる、そして実力の面でも主力になったと言える私が、3年の終わりに何の前触れもなく広島大学を去ったことを。

当時の私が大学生を続けることは、今後の人生を考えるうえで明らかにマイナスでした。

かなり前から分かっていたことですが、それでも大学に3年もいた(そしてもう少しいるつもりだった)理由としては、毎日将棋が大好きな人たちと心行くまで将棋が指せる、そんな環境から抜け出す勇気がなかったことが一つ。

しかし何より大きいのが、団体戦優勝を達成していなかったから。

 

私たちは何よりも優勝を求めました。

その為に悔しい思いをした人や我慢を重ねた人もたくさんいました。

そして私もより一層実力の向上を目指し努力しました。

結果は3年生の団体、春秋通じて9勝1敗。

今考えても出来過ぎです。

そして、その1敗で広島大学は優勝を逃しました。

 

現在私は充実した生活を送っています。

精神的にも学生時代より遥かに楽で、あの時の判断は間違いなく正しいものでした。

たった一つ、団体戦優勝が果たせなかったこと、それだけが心残りでした。

そしてその後悔は一生消えることはないものだと諦めていました。

 

そんな中で、同じ部室で同じ時間を過ごした君たちが私の夢を成し遂げてくれたのです。

この喜びをなんと表現しましょう。

 

君たちの努力を尊敬し、そして結果を残してくれたことに、私の思いを叶えてくれたことに、ただひたすら感謝します。

優勝おめでとう。

 

君たちは中四国の代表です。

全国大会というところは同世代の中四国の学生たちが渇望し、奮闘し、そして辿り着かなかった場所です。

そこに君たちは彼らの代表として立つのです。

その誇りを忘れないでください。

そして現段階で中四国のどこの大学よりも強いのが広島大学です。

君たちが負けるならどこが出ても勝てません。

自信を持って戦ってきてください。

 

そして出来ることなら、たっぷり緊張した上で、ちょっとだけ楽しんできてください。

健闘を祈ります。

 

徳島より、感謝と期待と少しの羨望をこめて

西村駿

 

 

アマ名人戦に出てきました

予選を2連勝で通過。

次勝てばベスト16で2日目に残るというところで2月の大会でも負けた強豪にやられました。

県代表を取るにはどうしても彼に勝たないといけないようです。

内容については予選2局目と負けた将棋が面白かったので、また後日自戦記を書きます。

今日は報告と一言だけ。

それでも私は急戦が好きです。

アマ名人戦に出てきます

本日6/9(日)、アマ名人戦徳島県予選に出場してきます。

今日でベスト16まで決めて、今月末に決勝が行われます。

したがって今日の目標は全勝、ベスト16に残ることです。

4月以降に出た大会で負けた対局を振り返ってみると、相掛かりが2局、対ゴキゲン中飛車が1局と自分の苦手かつ準備不足な戦型で、序盤から苦労する展開が多くありました。

前回の大会後はそこを重点的に補強しました。

以前より序盤で作戦負けになるケースはぐんと減っていると思います。

最近はある程度、対局にも時間を割けています。

後は落ち着いて、楽観せず慢心せず指せれば結果は自然とついてくるはずです。

行ってきます。