37桂システム(3)

基本図を再掲します。

今回はここから (c)54銀を見ています。

対して46銀と出るのは狙いの一手ですが、65銀(A図)と出られて後手の銀の出足が早いイメージです。

65銀に代えて64歩(B図)としてくれれば先手も35歩と仕掛けて十分に戦えます。

先手はなんとかしてA図を回避してB図に誘導したいのです。

そのために手順を工夫します。

基本図から
△54銀 ▲66銀 △64歩 ▲55銀 (第11図)

66銀から55銀とぶつけていくのが真新しい指し方。

ここで ①同銀 ②65銀 ③63銀が考えられます。

①同銀 は以下同角63金24歩同歩35歩同歩34銀(下図)が予想される進行。

36歩から桂を取られるので銀桂と角の二枚替えですが、飛車の成り込みが見込めて先手まずまずでしょう。

②65銀 は以下64銀76銀55銀(下図)と進めてどうか。

後手の調子が良いようにも見えますが先手からは次に24歩同歩22歩と24歩同歩35歩の狙いがあり、64桂の傷もあって難しい局面です。

③63銀 が最も自然な対応。

と言うのも、これで先手からの手段が無いように見えるからです。

第11図から
△63銀 ▲46銀 △54銀 (第12図)

先手の銀はもう進めないので46銀とこちらに引いて次に24歩同歩35歩を見せます。

対して54銀が自然な応手ですが、第12図はなんとB図そのものです。

66銀と出て64歩を誘ってから銀を46まで引き戻した結果、先手後手ともに銀の動きで2手損しておりB図を実現することができました。

この一連の手順は先手の銀が57→66→55→46とぐるぐる回ることから「ぐるぐる銀」と呼んでいます。

なかなかの語呂の良さで気に入っています。

第12図から
▲24歩 △同歩 ▲35歩 △45歩 ▲33角成 △同桂 ▲57銀 (第13図)

35歩に対して (ⅰ)同歩 は最悪で以下、同銀36歩34歩22角24銀37歩成同銀(下図)と進めて先手大優勢です。

37歩成に同銀と取れるのが左銀急戦の利点です。

35歩に (ⅱ)43銀 は二手損ですが実戦的な手順で有力です。

以下、26飛32飛34歩同銀36飛(下図)と進みます。

ここで (α)45歩 と (β)22角 がありそうです。

(α)45歩 は33角成同飛45桂同銀同銀36飛同銀(下図)

(β)22角 は34飛同飛23銀36飛22銀不成(下図)

とそれぞれ進めてどうか。

まだまだ難しいですが駒得が大きく、個人的にはどちらも少し居飛車持ちです。

本譜は45歩から決戦です。

第13図から
△35歩 ▲24飛 △36歩 ▲34歩 △37歩成 ▲同銀 △15角(第14図)

15角で両取りを掛けられましたが承知の上です。

第14図から
▲21飛成 △37角成 ▲33歩成 △44飛 ▲31龍 (第15図)

先手は瞬間的に銀損ですが31龍が狙いの一手、次に42とが金と馬の両取りです。

第15図から
△19馬 ▲34と △42飛 ▲24角 △41香 ▲33歩 (結果図)

19馬は42とを防いで仕方のないところですが、今度は34とから飛車を狙う手が厳しく結果図は先手優勢です。

基本図から (c)54銀 は最有力ですが先手も手順を尽くせば戦えます。

以上で37桂システムの解説を終わります。

従来の急戦と比べて右桂が捌きやすいので実践的な勝やすさも魅力です。

急戦党のみなさんはぜひ一度お試しあれ。

*補足*

①66銀に12香のような手は55歩43銀65銀(下図)としておけば後手は指す手がありません。

したがって66銀には後手も64歩の一手となります。

②本譜は手順を明快にする為55銀63銀46銀54銀24歩としていますが、55銀63銀24歩同歩46銀とした方が24歩に同角の変化を消しているため少しお得です。

③第11図から63銀46銀に74歩は以下、24歩同歩35歩45歩同桂88角成同玉44歩53桂成同金24飛(下図)と進めて先手優勢です。

玉頭銀が来なければ先手は怖いところがありません。

37桂システム(2)

基本図を再掲します。

ここから (b)64歩を見ていきます。

基本図から
△64歩 ▲55角 △63金 ▲45桂 (第5図)

64歩には45桂の飛び膝蹴りをかまします。

直前の55角は後手の63金型が不安定なので利かしになると見ています。

第5図から
△同歩 ▲33角成 △同桂 ▲24歩 △同歩 ▲同飛 (第6図)

先手は桂損の代償として飛車先の突破を確定しました。

第6図から22歩は31角32飛22角成で二枚飛車の攻めが厳し過ぎます。

第6図から
△46歩 ▲同銀 △54銀 (第7図)

飛車先を軽くして玉頭銀に出るのは、振り飛車党ならこうやってみたくなるところでしょうがここでは疑問手。

次の一手で居飛車の優位がはっきりします。

第7図から
▲88角 (第8図)

飛車成りを保留しての88角が好手です。

以下45桂には11角成65銀33馬の要領です。

第8図から
△43飛 ▲22飛成 △65銀 ▲33角成 △同飛 ▲同龍 △76銀 (第9図)

43飛は最善の受けですが先手は飛桂を手にして駒損を回復しました。

二枚飛車の攻めは受からないので後手はここから猛反撃に出ます。

先手も受けきるのは大変なので引っ張り込んで右辺に逃げていきます。

第9図から
▲77歩 △86桂 ▲同歩 △87角 ▲68玉 △88角 ▲59玉 △77銀成 ▲31龍(結果図)

長くなりましたが結果図まで進んで先手の勝ちが見えてきました。

後手の攻め駒は渋滞気味ですが、先手は飛車を下ろしてしまえばそれまでです。

第6図まで戻ります。

ここで自然に見えた46歩から54銀が疑問手。

狭いようですが先手からの88角を防ぎつつ、33の桂に紐を付ける44角が最善です。

第6図から
△44角 ▲66銀 △54歩 (第10図)

66銀に代えて66角には同角同歩65歩(下図)が嫌味です。

先手はすんなり飛車を成り込めますが後手には用意の順があります。

第10図から
▲21飛成 △65歩 ▲77銀 △55歩 ▲同歩 △同角 (結果図)

銀を引かせてからの55歩が筋の一着で結果図まで進めば44に打った角が十分に働いて振り飛車も軽い形です。

一方居飛車も龍を作って、次に24歩が確実な手となるので仕掛けた甲斐はあったと言える局面です。

結果図はいい勝負で人によって好みが分かれそうな局面です。

ポンポン桂はその名前のポップさから奇襲戦法の一種として捉えられがちな戦法ですが、本譜を見ていただけば分かるように立派な急戦の一つとして成立しています。

次回は基本図より (c)54銀を見ていきます。

37桂システム(1)

四間飛車に対する急戦は数多くありますが、その基本形とも言えるのが下図の形です。

ここから(1)46歩なら45歩早仕掛け (2)46銀なら斜め棒銀 (3)68金上〜37銀なら棒銀 (4)55歩なら5筋位取り にそれぞれ進みます。

ここで37桂とするのが私が愛用している形で37桂システムと呼んでいます。(基本図とします)

後手の応手としては (a)54歩 (b)64歩 (c)54銀 が考えられるので順に見ていきます。

基本図から
△54歩 ▲46歩 △64歩 ▲45歩 (第1図)

基本図から (a)54歩 には46歩から45歩早仕掛けに合流させます。

普段急戦を指さない方はピンと来ないでしょうが、第1図は居飛車の条件がかなりよく作戦勝ちと言っていい局面です。

69金型で仕掛けられているのがすこぶる大きく、後の84桂が怖くない上に、一段飛車には59銀と引いた形がかなりの堅さです。

加えて後手はここから一手で自陣を完成させられません。

すなわち第1図から63金は後の75桂や52銀が厳しく残り、74歩は86桂が先手で入ります。

とは言ってもまだまだ定跡の範囲内で、ここからの変化を全て解説するのは不可能なので、有名な居飛車の成功例を一つ挙げるに留めておきます。

第1図から
△63金 ▲44歩 △同銀 ▲24歩 △同歩 ▲45歩 (第2図)

第2図から
△同銀 ▲同桂 △同飛 ▲33角成 △同桂 ▲24飛 (第3図)

第3図から
△65桂 ▲68銀 △15角 ▲21飛成 △48角成 ▲同金 △同飛成 (第4図)

第4図から
▲26角 (結果図)

第4図の48同飛成まで振り飛車が大成功に見えましたが、結果図の26角がぴったりの返し技で居飛車勝勢です。

以下、龍を逃げる手には61龍で決まります。

途中で後手が変化することは可能ですが、いずれも居飛車が十分となります。

(a)54歩 には46歩から早仕掛けにして居飛車十分です。

次回に続きます。