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今回からテーマ図A以降の進行に移ります。
ここから先手の手段として (1) 66歩 (2)同歩 を順に見て行きます。
テーマ図Aから
▲66歩 △76歩 ▲同銀 △86歩 ▲同歩 △同飛 ▲87金 △82飛 ▲86歩 (第1-9図)
66歩は銀交換を避けた手ですが、7,8筋の歩を交換されて先手陣が大きく歪むので妥協した感じは否めません。
第1-9図は既に後手模様良しですが、次の一手が大切でこれを逃すと途端に難しくなります。
第1-9図から
△54歩 (第1-10図)
54歩が絶対の一手です。
代えて32玉などとするとすかさず65歩と突かれて以下、73銀77桂(下図)となった局面は先手に「厚み」の主張ができます。
後手はこの6~8筋の厚みを崩すのには繊細な手順が必要で、軽い手ではたちまち跳ね返されてしまいます。
また先手からは66角と据える手が絶好で、以下37桂から45桂という展開は33金型を咎められており、これを受けきるのは至難の業です。
したがって54歩は必要不可欠です。
54歩に対して65歩と来るのは、待ってましたとばかりに55銀とぶつけます。
以下同銀同歩(下図)となった局面は66角や56歩の傷があり、左の金銀が全く働かない展開となりそうでとても先手はまとめきれません。
さて54歩と突かれた第1-10図では、実は先手の指し手が非常に難しいのです。
やりたいのは36歩〜37桂〜45桂でこれが実現すれば先手十分となりそうです。
しかしすぐにやると37角の王手飛車を食らうので、一回は玉を動かす必要があります。
68玉が最も自然ですがこれには88歩(下図)と動きます。
以下同金86飛87金82飛86歩88歩で千日手模様、先手がこれを打開するのは不可能でしょう。
この段階での千日手はもちろん後手大歓迎、してやったりの展開です。
69玉は88歩なら同飛で踏ん張る狙いですが、今度は55銀が利きます。
同銀同歩はやはり先手がまとめ切れないので67銀右と引きますが、そこで46銀(下図)が57銀成の先手で入ります。
これは69玉が祟っており、上図となっては後手十分です。
88歩を避けつつ後手玉への反撃を目論む77桂を本譜とします。
第1-10図から
▲77桂 △32玉 ▲68玉 △75歩 ▲67銀 △42銀 (結果図)
68玉に桂頭を押さえてから陣形を引き締めて結果図
後手陣はかなり安定しているのに対して先手陣はばらばらで攻め形も作れていません。
後手有利と言える差かどうかは難しいですが、①88歩同金86飛 ②55歩47銀54角 ③55銀47銀76歩 のように攻め筋が豊富にある後手が勝ちやすい展開でしょう。
テーマ図Aから (1) 66歩 は、第1-10図の54歩が好手で後手が模様の良さを保ったまま進められます。
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