嬉野流の潰し方(1) 〜嬉野流対策“端角棒銀”〜

端角棒銀が本になりました!

※本記事は先日、嬉野流にボコボコにされた筆者が荒ぶる感情のまま書いたものです。
表現・語調がかなり汚くなっている可能性がありますので予めご了承下さい。

奇襲戦法の対策に必要な要素は何だと思いますか?

それは明快さ再現性コストの少なさです。

「筋違い角は腰掛け銀から位を張れば模様良し」「45角戦法はn手目○○飛が妙手で先手勝ち」

その研究と対局姿勢はご立派です。

ただ、相手はそんなこと分かりきった上で奇襲戦法を採用しているわけです。

何より前提として「奇襲戦法なんて何やっても良くなる」んですよ。

そんな相手に真面目に研究するのはあほくさいし労力の無駄。

本記事はそう感じる同志へ向けたメッセージです。

ともに嬉野流を滅ぼしましょう。

初手から
▲68銀 △84歩 ▲79角 (第1図)

もっとも明快な勝ち方とは何か

それは模様を張ることでも制圧することでもありません。

攻め潰すことです。

となると採用するのは当然ながら原始棒銀です。

第1図から
△85歩 ▲78金 △72銀 ▲56歩 (第2図)

原始棒銀に対する嬉野流の受け方は確立されていて2通りあります。

(A)66銀型

上図から△95銀▲65銀△86歩▲同歩△同銀▲88歩△87歩▲76銀で受かっています。

以下△74歩から攻め続けようものなら▲46角が絶好の飛び出しになります。

(B)88金78玉型

単純に87の地点に2枚利かすという発想です。

(A)に比べて反発力は弱いですが、これも一筋縄ではいきません。

本戦法では(A)を避けて(B)に誘導します。

その鍵を握るのが端角です。

第2図から
△14歩 ▲57銀 △13角 (第3図)

△13角とこちらから先手陣を狙います。

これで先手の(A)66銀型を防いでいます。

またこの角は先手の57銀を狙い続けるので、▲16歩からの端攻めは2枚換えとなり無効です。

すなわち、この端角は狙われにくく、かなり安定した位置になります。

(A)を防がれた先手は(B)で棒銀を受け止めに行きます。

第3図から
▲48銀 △83銀 ▲69玉 △84銀 ▲88金 △75銀 ▲78玉 (第4図)

一直線に銀を繰り出す後手に対して先手も88金・78玉を間に合わせました。

一見するとこれで大丈夫なようですが、ここから後手の猛攻が始まります。

第4図から
△86歩 ▲同歩 △同銀 ▲87歩 (第5図)

当然の進行で迎えたこの局面

ここで△75銀と引くようならこんな記事は書きません。

これまで嬉野流に負けてきた将棋を思い返しながら、ありったけの恨みを込めて次の手を指しましょう。

△同銀成 (第6図)

無論、突っ込みます。

この手を通すための端角です。

第6図から
▲同金 △86歩(第7図)

▲同金に△86歩で拠点を作ります。

ここでは▲88金と引く一手に見えます。

しかしそれには△57角成が炸裂します。

以下、▲同角△87銀でそれまで。

△13角は(A)66銀型を防ぐとともに、銀を質駒に入れて攻撃力を上げる手でした。

ここで後手の陣形を見てください。

34歩も74歩も突いておらず2筋から7筋まで綺麗に歩が並んでいます。

したがって先手からの▲55角や▲66角といった攻防手が一切ありません。

角を切って飛車先を突破する手法は他にもありますが、本譜は角打ちの反撃がない為、かなり紛れがなく勝ちきれます。

第7図から
▲同金 △同飛 ▲87歩 △82飛(第8図)

▲88金と引けない先手は▲86同金と取るしかありません。

第8図となって銀金交換+8筋の歩交換を果たした後手の明らかな作戦勝ち。

と普段ならここで締めるのですが、今日の私の鬱憤はこんなものでは晴れません。

徹底的に攻め潰して、先手が駒を投げる局面まで研究を続けます。

第8図から
▲26歩 △94歩 ▲25歩 △95歩 ▲36歩 △96歩(第9図)

一直線に棒銀を突っ込んだ後は、3手連続で端を突きます。

これで潰れています。

第9図から
▲同歩 △98歩 ▲同香 △99金 (第10図)

手にした金歩を最大限に活かして、99に空間を作り金をねじ込みます。

8筋がこの上なく薄いため、香はかなり価値の高い駒になっています。

第10図から
▲88玉 △89金 ▲同玉 (第11図)

玉を下段に落として寄せに入ります。

ここで△87飛成では粘られます。

第11図から
△75桂結果図

△75桂が決め手

87の地点には飛車ではなく成桂で行きます。

以下指すなら▲78玉ですが、△87飛成▲68玉△98龍▲88金△99龍と進めて先手投了です。

13の角が最後まで強烈な存在感を示しています。

まとめます。

①飛車先を伸ばして棒銀を見せる
▲56歩に△14歩~△13角で66銀型を防ぐ
③棒銀を突っ込み銀金交換に持ち込む
④端を3連続で突く
⑤△98歩~△99金とねじ込む
⑥△75桂で仕上げる

以上の手順で憎き嬉野流を粉砕できます。

嬉野流よ、今まで犯した罪を数えながら安らかに眠れ。

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この記事を書いた人

徳島の将棋好き
"急戦で先攻する"が信条
33金型早繰り銀の開発者

コメント

コメント一覧 (1件)

  • 嬉野にはいつも負けてしまうので、とても参考になりました。
    もし差し支えなければ、アヒル戦法の明確な潰し方を記事にしていただけると嬉しいです。

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